さて、今回の話は10月19日㈬、2,3歳クラスでの出来事です。
〇ちゃんは入会して間もない女の子。鉄棒が苦手で、その日もまさ先生が鉄棒に誘ってもやらないと言って泣いていました。
そこでクラス終了後、マットに移動して当ジム特製メニュー「竹馬くるりんぱ」に誘ったところ、何とか一人でできるようになってきました。
そして、いざ鉄棒に移動してやってみると、私たちが補助しながらではありますが一人でできるようになりました。
驚いたのはこれに気を良くした〇ちゃん、何度も何度も鉄棒を回りだしたのです。
たいていこのような状況では、お母様が「もうできるようになったから止めていいよ」というような声掛けをするのですが、夢中になって取り組んでいる〇ちゃんに対してお母様はその後も励ましの言葉以外をかけることはありませんでした。
お母様が「ゾーンに入っている」と仰っていたように〇ちゃんはできるようになったことがよほど嬉しかったのか、その後も一心不乱に鉄棒に取り組んでいました。
最終的に何回やったのか数えていなかったのですが、フリープレイタイムが終わるまで続けていたので、本当に30分間ひたすら前回りをしていたことになります。終わった時には髪の毛まで汗びっしょりになって「み~ず」と言っていたので、本当に喉がカラカラになるまで鉄棒に取り組んでいたのでしょう。
私は今まで多くの子供を指導してきましたが鉄棒前回りを30分間やり続けた子供は初めてでした。
〇ちゃんは恐らく「本当は鉄棒をやりたかったのだけど恐怖心を抱いていたのでできなかった。それができるようになって楽しくてやめられなくなってしまった」、こんなところではないでしょうか。
まさ先生がお母様に「〇ちゃんの人生変わりましたね」と言っていましたが、子供はほんの些細なきっかけで苦手だったことが好きになったりすることはよくある事なのです。
これまで〇ちゃんにとって鉄棒は「怖い」以外の何ものでもなかったのが、ある日を境に遊び道具に変わっていく、ちょうどさなぎが蝶に変態する様な機会に遭遇できたことは教育を生業とする私たちにとって本当に嬉しい出来事でした。
子供の成長を目の当たりにできることほど私たちを奮い立たせてくれるものはありません。
そしてこのような機会を得られたのも、お母様がずっと○ちゃんを笑顔で見守り、〇ちゃん自身に一つのことに集中できる資質があったからこそなのだと思います。
当ジムには「すべては子どもたちの『できた!』のために」というスローガンがありますが、実はできたからと言ってそれで終わりではないのです。
「できた!」という苦手を乗り越えた貴重な体験をその後の自分の人生にどう活かしていくのか、それこそが重要であり、その体験を活かすことができて初めて運動をやっていてよかったということになると私は考えています。
〇ちゃんにとって前回りができるようになった事がきっかけとなり、今後も様々なことに挑戦するようになったり、自分に自信を持てるようになってほしいと願っています。
〇ちゃん、よくがんばったね!