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さて、当ジムに入会される子供を見ていると、運動が好きでもっとやらせてあげたいというよりも、運動が苦手でこれでは将来困ったことになるのではと懸念され入会される方が多いように見受けられます。
そこで今回は、我々指導者が運動が苦手な子供を指導する際に最も気を付けていることについてお話したいと思います。
まず大前提として、「子供は自分が嫌いなこと、苦手なことは決して自らやろうとはしない」という明確な事実があります。つまり運動嫌いな子供は、残念ながら今後放っておいても自発的に運動することはないということです。
当ジムに入会したばかりの子供を見ていても、無理に運動させようとすると泣いて抵抗するのはよくある光景です。
では、そんな彼らをやる気にさせるにはどうしたらよいのでしょうか?
運動が苦手な子を運動好きにさせるのはとても時間がかかるため、私たちはまずは苦手意識を感じさせないように指導することを心がけています。
そのために大切なことは子供に劣等感を感じさせないことです。
つまりダメ出しをするのではなく、出来ていなかったことができるようになったことをその都度褒めるようにしています。
例えば鉄棒前回りであれば、まずは私たちの介助で回れたことを褒め、次に手を離さないで回れたら褒め、介助なしで一人でできたら褒めるというように、些細なことでもできるようになったことにフォーカスして褒めていくのです。
これを続けていると子供たちは少しずつですが自信を持ち、運動に対して興味を持つようになってきます。
これが他のスポーツ関係の習い事と当ジムの最も大きな違いであると考えています。
かつて、当ジムの会員さんがとあるサッカー教室のトライアルに参加した際、試合中に他の子供から「雑魚は来るな」と言われ非常にショックを受けて泣いてしまったという話をお母様より伺ったことがあります。
まだ精神的に成長しきれていない世代の子供たちは時に他者を傷つける言動をしてしまう事はよくありますが、子供の心はとても繊細なので、知らない子にこのような心ない言葉を投げかけられた場合にはサッカーをプレイすること自体を躊躇するようになってしまうのは当然だと思うのです。
スポーツは勝敗を競うものなので、どうしても勝利に貢献する可能性が高い子供が活躍をして、それ以外の子は引き立て役になってしまうというのは子供のスポーツ世界ではよくあることです。
大相撲横綱であった白鵬関の父親は、メキシコオリンピックでモンゴル代表としてレスリング競技に参加して銀メダルを獲得していますが、彼は幼年期の白鵬には勝敗を決するスポーツを決してさせなかったという逸話があります。
恐らく彼は子供が劣等感を感じることによってスポーツ嫌いになる怖さを知っていたのかもしれません。
私は運動は生涯にわたって長く続けることによってその価値がより発揮されると考えています。そのためには幼いときの運動に対するイメージが非常に大切になってきます。
たとえ運動が苦手であっても子供時代に劣等感を感じさせない指導を受け、ある程度の運動能力を身に着けることができれば、その後は自発的に運動に親しんでくれるというのが私の考えです。
