Waku Waku Gym

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かわいい子には旅をさせよ~大好評カブト虫キャンプ開催いたします~わく通2025年10月号 

さて、当ジムではコロナ禍以前、日本で毎年スキーキャンプを開催していました。
今回は、その際に感じたことをお話しさせて頂きます。

このキャンプには、主にバンコクから一時帰国中のお子様、日本に本帰国された元バンコク在住のお子様、そして私が日本でスポーツ教室を開催していた頃の教え子やその兄弟が参加されていました。

そのキャンプ中に特に印象的だったのは、就寝時に「ママがいない」と泣く子共たちの多くがバンコク在住の子であったということです
日本在住の子どもたちは親元を離れてもあまり寂しさを感じていない様子でした。

その原因を考えたとき、すぐに思い浮かんだのは「日頃の母親との接触時間」の違いです。
バンコクでは例えば同じコンドミニアム内であれば子供だけで遊ぶこともありますが、そうでない場合は海外ということもあり、たいてい母親が同伴するのが一般的だと思います。

一方、日本では小学生にもなれば友達同士、母親抜きで遊ぶことが普通です。
また、バンコクでは帰宅すると母親が家にいることが多いのに対し、日本では母親も働いており、帰宅後は夕ご飯まで一人で過ごす場合も少なくありません。

こうした生活環境の違いが母親と離れた際の子供たちの反応に表れているのではないかと感じました。
バンコクの子供たちは常に温かく見守る母親がそばにいて安心して生活できる反面、親から離れて過ごす経験が圧倒的に少なくなっていると言えるでしょう。

子育ての目的を「精神的な自立」と捉えるならば、時に親から離れて過ごす経験は大変重要です。
自分の身の回りのことを自分でこなし、先生の指示に従い友達と協力し合って集団行動を学ぶ、こうした経験を通して子供たちは確実に成長していきます。

特に普段母親と密接な関係にあるバンコクの子供たちにとっては、母親と離れて友達と出かけるカブト虫キャンプは精神的な成長を促す貴重な機会となりうるのではないでしょうか。

「たかが1泊」と思われるかもしれませんが、ここバンコク在住の子供たちにとっては大冒険の2日間です。
バスの中で友達と笑い合い、観光地ではすれ違うタイ人とあいさつを交わし、夜はベッドの中で内緒話をし、朝は皆でそろって朝食を食べる。
そんな些細な体験の一つ一つが子供たちにとっては新しい世界との出会いです。

「かわいい子には旅をさせよ」という言葉があります。

普段ずっと一緒にいる母親と離れることに不安を感じるお子様も多いかもしれませんが、バンコクでの楽しい思い出作りのためにどうかそっと背中を押してあげてください。
きっと心に残る忘れられない思い出となることでしょう。

鉄棒前回り、手は強く握る?握らない?~わく通2025年9月号 

さて、先日年少のクラスで前回りをしている子がいました。

最初、ママは満足そうに見守っていたのですが、その子が回るときに少し鉄棒から手を離すと「手をしっかり握っていなさい」と注意をされていました。私はそれを聞いて「鉄棒で回るときには強く握っていると回れないのでそれで大丈夫なのですよ」とお伝えしたのですが、今回は改めて鉄棒前回りの際の手の握り方についてお話させて頂きます。

まず、鉄棒前回りをするときに手を強く握ってしまうと手首が固定され上半身が前方に回転しにくくなるため、前回りがスムーズにできません。

最初はこのことに驚かれる方も少なくないと思います。
特に初心者の子どもは体を前に倒すのが怖いため、どうしても強く握ってしまいます。

また、お母様としても鉄棒から落下するのではという懸念から鉄棒を強く握っていてほしいと考えるのも理解できるのですが、実際にはそれではうまく回ることはできません。そこで大切になるのが鉄棒を握る力加減です。

小学生に鉄棒前回り競争をさせるとよくわかるのですが、鉄棒を握っているというよりもただ手をひっかけているといった感じで回っているのです。

これは速く回るには体の重心が下に落ちる勢いが大切になるので、なるべく鉄棒を持つ手が回転のスピードを妨げないようにしているためです。

では、どの程度の力で握るとうまく回れるかというと、これは何回も練習をして自ら感覚をつかむしかありません。

ただこれは決して難しい事ではなく、繰り返し前回りを練習することによって誰もが自然に習得できるようになります。

Waku Waku Gymでは回転運動をとても重要視しています。
それは鉄棒前回りのような回転運動は日常生活の中では絶対に行わない動作だからです。

この感覚を身につけているか否かにより将来の運動能力に大きな差が出てくるため、すべてのクラスで毎回必ず鉄棒を毎回必ず行ってもらっています。

鉄棒前回りの練習を通して子供たちは手の力加減や体の使い方、回転感覚を学んでいきます。
何度も何度も回って回転感覚を養うことが将来の運動能力の基礎作りにつながるのです。

すごいぞ!ボルダリングの効果~わく通2025年8月号 

さて、オリンピック競技にも採用されるようになり一躍脚光を浴びるようになったボルダリングですが、当ジムではすべてのクラスにおいて積極的に取り組むことを推奨しています。

そこで今回はこのボルダリングのすごい効果についてお話したいと思います。

当ジムでは一人でうんていと鉄棒ができるようになることを目指しています。具体的にはうんていをサルのようにリズム良く一人でできるようになり(ちなみにうんていのことを英語でMonkey Barsと言います)、鉄棒では一人で前回り、足掛け回り、逆上がりができるようになることを目標としています。そして、それを達成するために行ってもらっているのがこのボルダリングです。

ボルダリングは壁の突起物(ホールドと呼ばれています)を掴んで体を支えさらに移動までするので、うんていにぶら下がったり移動したりする能力の向上に大きく役立ちます。

ぶら下がる運動能力というのは実は生まれたばかりの赤ちゃんには「ぶら下がり反射」といってもともと備わっているものなのですが、残念ながらこれは成長と共に消えてしまいます。

そのため経験がない子にとってうんていにぶら下がることは最初はかなり困難であることが多いのですが、ボルダリングを毎回行うことによってうんていにぶら下がる時間を徐々に長くすることができます。

また、ボルダリングは体幹や腕を引き付ける筋力の向上にも寄与します。ボルダリングを行っている時にはお腹と背中の筋肉に力が入っていないと壁に体を寄せることができないため体幹トレーニングとしても非常に優れています。

さらに逆上がりのトレーニングとしても非常に効果的です。と言うのも、ボルダリングを行う際には常に腕を曲げながら行うように指示していますが、逆上がりは腕を引き付ける筋力が何より大切なので、これを行うことにより多くの子供が逆上がりができるようになっています。

このようにボルダリングは上肢や体幹の筋力を鍛えるうえで非常に優れた器具ということができると思います。

ただ、当ジムではボルダリングができるようになることを目的とするのではなく、あくまで鉄棒やうんていを上達させるための補助具として考えています。

そのため当ジムのボルダリングは、誰でも簡単にできるよう正面から見て左側のホールドの数をより多く設置しています。

小さなお子様は、まずはママやパパと一緒に左側のコースを挑戦してみましょう!

スマホやゲームに負けないで!~わく通2025年7月号 

さて、当ジムに入会頂く際の動機として多いものとして

「元気な子供に育ってほしい」

というご両親の願いがあると思います。
今回はこれについて当ジムの見解をお話させて頂きます。

まず、元気な子供に育つためには自発的に運動するようになることが必須です。
親から運動するように言われてやるのはせいぜい小学校低学年くらいまででしょう。なぜなら現代では幼少期からゲームやスマホに触れる機会があり、それらは運動のように疲れや苦しさなど不快な思いを感じることなく容易に楽しさや達成感を得られるからです。

そのため幼少期から運動なんて疲れるからイヤだと感じている子は、将来はより運動する意欲を持てなくなる傾向にあるように思います。

当ジムでは健全な心身を育むために子供たちには生涯にわたってスポーツに親しんでほしいと願っています。

また、スポーツに親しむことは協調性や忍耐力などが身に付くため人間性を高めることにもつながり、その教育的効果は非常に高いと考えています。
実際当ジムの先生たちも学生時代は皆運動部に所属しており、彼らの人格はかつて行っていたスポーツによって培われた部分も非常に大きいのではないかと感じています。
当ジムでは子供たちに運動したくなるように動機づけることが非常に大切であると考えており、そのためにどんなに些細なことでも「できた!」という喜びを感じさせるように心掛けています。
なぜなら、またやりたくなるためには楽しいと感じることが大切であり、そのためには成功体験が最も大きな動機となるからです。

当ジムのスローガンである「すべては子供たちの『できた!』のために」はまさに成功体験を通じて運動への動機づけを目指すものなのです。

幼少期から水泳や球技など一つのスポーツに特化して習わせるご家庭もありますが、それらのスポーツとの一番の違いは当ジムでは多様な運動を行うことによってたくさんの「できた!」を体験しやすいということがあげられます。

当ジムでは鉄棒や雲梯、三転倒立、逆立ち、トランポリンなど数多くの運動を毎回行うため、ある種の運動は苦手でも他の運動なら上手に出来るという場合が多々あるからです。

また、今のお子様の年齢は脳の神経細胞が劇的に増える時期であり、この時期に多くの運動刺激を与えることが運動能力を高めるためには最も重要であることは現在のスポーツ科学においても証明されています。

ここバンコクは日本と比べて運動環境は決して良いとは言えません。
しかし、当ジムで運動の楽しさに目覚めて、日本帰国後も継続してスポーツに親しんでいる子供は少なくありません。

今後とも子供たちが生涯にわたってスポーツに親しめることを目標に、一つでも多くの「できた!」を感じてもらえるようしっかり指導させて頂きます。

「甘え」で子供は成長する~わく通2025年6月号 

さて、先日お母様同士で子供が甘えて困るといった話をされていたことがありました。

話の詳細は分からなかったのですが、このまま甘えさせては自立が遅れ将来に悪影響を及ぼすのではないかといった内容だったように思います。

そこで今回は土居健郎先生著の「甘えの構造」を参考にしながら子供にとって甘えはとても大切であるお話をしたいと思います。

本書の中で、筆者は自己肯定感の高い人間に育てる上で甘えは必須のものと言っています。
また甘えが存在するためには、

①甘える対象がある

②その対象とは特別な親しい関係がある

という2つの条件が必要と論じています。そして、かつてはその役割は家庭内にいる母や祖父母が担っていて家庭が子供にとって絶対的に安心できる場所であったのが、今では家族の形態の変化によりそれが叶わなくなってきているとも述べています。

子供にとっては成長の過程で自分を心身丸ごと受け入れてくれる人が存在するか否かで、その後の人間としての成熟度が大きく変わってくると思います。

そして、その対象(多くが母親)に自身を受け入れて欲しいが故に無自覚に行う行為が甘えなのです。
ただ現代社会のように、両親が共働きで家に帰っても母親がいない状態が当たり前になってくると、子供たちが母親に甘えたくても甘えられないという状況が出てくると思います。

しかし、幸いなことにここバンコクでは多くのお母様が家にいるので、子供にとっては甘えたい時に思い切り母親に甘えられる最高の環境が用意されていると言えるでしょう。

そこで、お母様もここに滞在している間は子供の健全な成長のためにも思い切り甘えさせてあげることを意識して頂ければと思います。

子供を甘えさせる効果というと子供の精神の安定ばかりに目がいきがちですが、実はその過程の中で母子がより密接な関係を築くことによって、母親にとってもお子様への愛情を再確認することになり、互いの心の健康にも繋がると思うのです。
子供たちが成長して第二次性徴を迎え自我が芽生えてくると、かつてのように甘えてくれなくなるものです。

そのように考えると、今のお子様の年齢でタイに駐在できることはとても幸運だと考えることができるのではないでしょうか。

タイ駐在の時間を充実させるためにも、ぜひお子様の「甘え」をこの時期ならではの貴重な時間と認識して大切に過ごして頂ければと思います。

つばさ先生ってどんな人?~わく通2025年5月号 


つばさ先生に聞いてみた!

5月より、つばさ先生がジムに加わり、本格的にWaku Waku Gymスタッフの一員となりました。

つばさ先生がどんな人なのかもっと知りたいという人も多いと思いますので、今回はつばさ先生にクラス中にはなかなか聞けないことをインタビューしてみました。

* * * *

タイに来て驚いたことは?

タイ人の道の渡り方です。皆が横断歩道を利用して渡る日本と違い、ここでは誰もが無秩序に道を渡っている姿を目にしてびっくりしましたが、最近ようやくタイ人のように渡れるようになってきました(笑)。
また、電線が何重にもからまっているのにも驚きました。

タイと東京を比べて何を感じましたか?

タイ人は心にゆとりを持っている人が多い印象を受けました。
東京では毎日がせわしなく心に余裕のない人が多いですが、ここでは皆がのんびり暮らしているためか人柄が優しい人が多いと感じました。

なぜWaku Waku Gymで先生になりたいと思ったのですか?

小さい子供に運動を教えてみたいという思いがあったこと、そしてまた海外で働くことによって日本ではできない体験をしてみたいと思ったからです。

東京の高校生とWaku Waku Gymの子供たちと比べてみてどうですか?

年代は違いますが、人柄がよく似ています。
私は東京の足立区という下町で教師をしていて、その場所がら人懐っこい子供が多かったのですが、ここバンコクでも子供たちは初対面の私にすぐに打ち解けてくれて東京の高校生とよく似ているなあと感じました。
異なる点としては、バンコクの子どもはいろいろなことに前向きに挑戦する子が多い印象を持ちました。

これからWaku Waku Gymでどんな先生になりたいですか?

子供たちに「運動って楽しい!」と感じてもらえるような指導ができる先生になりたいと思っています。

スポーツをしていてよかったことは?

忍耐力をつけることができました。それが一番です。
あとは礼儀を学んだり何かひとつのことに打ち込む力がついたと感じています。

タイの生活で経験してみたいことは?

いずれはタイ語を話せるようになって、タイ人との交流を楽しみたいです。
また、いろいろなタイのお寺にも行ってみたいですね。

その他、何か聞いてみたいことがある人は、ぜひ積極的につばさ先生に尋ねてみましょう!

2025年度のスタートに際して~わく通2025年4月号

さて、Waku Waku Gymでは4月16日㈬より2025年度が始まります。

新年度と言うと緊張感もある反面、新たな出会いにわくわくしている子供も多いことでしょう。
今回はそのような時期に私たち指導者が最も気を配っていることについてお話したいと思います。

それはクラスの環境整備、つまり雰囲気作りです。

子供たちが楽しく運動できる場をしっかり作ることが私たちの最初の仕事であり、その目的は子供同士の関係性を構築することにあります。

運動は皆の前で自分の動きが見られてしまうので、緊張感からうまくできなかったり失敗することもあるでしょう。

保護者の皆様の中にも、体育の授業でうまくできずに恥ずかしい思いをしたという方もいらっしゃると思います。

そのような時でも気まずい思いをすることなく友達と一緒に笑い合えるような関係性を作ることが、私たち指導者にとって最も大切な仕事であると考えています。そのために子供たちに実行して欲しいことが2つあります。

それは「挨拶する」ことと「名前で呼ぶ」ことです。

クラスオープニングの子供紹介の際、皆に自分の名前を呼んでもらうことは子供にとって大きな安心感につながります。

入会してまだ日が浅くクラスになじめていない子や、運動に対して苦手意識がある子にとっては特に効果的と考えています。

これを継続することによって子供にとってはWaku Waku Gymが自分の居場所となり、ママとべったりだったのが徐々に友達と絡むようになってくるのです。

また、当ジムではあいさつも非常に重要と考えています。

そのため、クラス最後には皆で「ワクワクタッチ」をしてクラスを終わるようにしています。

普段積極的に友達とコミュニケーションをとることがない子も、1時間体を動かした後は心がオープンマインドになっているので、このタイミングであればしっかり友達と目を合わせてタッチができるのです。

これは社会性を育む上でも非常に効果的です。

現代はスマホがあればすべて済んでしまう時代ですので、普段は他者と手と手を合わせるようなコミュニケーションをとることはなかなかありません。

そこで、子ども時代にこのような機会を持つことは将来に向けて非常に有効であると考えています。

運動能力向上のためには失敗し続けることが必須です。

失敗を重ねた後に「できた!」の成功体験があるのです。

そのために失敗しても恥ずかしくない雰囲気を作ることが我々の最初の仕事であり、それは子供同士が良好な関係性を築くことにより生まれるものなのです。

その関係性を構築するために「挨拶する」ことと「名前を呼ぶ」ことを是非子供たちに徹底して行ってもらいたいと考えています。

今年度もたくさんの子供たちの「できた!」の笑顔をみられるようスタッフ一同一所懸命指導させて頂きます。

本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

新コーチつばさ先生就任のお知らせ@わく通2025年3月号

さて、当ジムでは2025年5月1日より、まさ先生、よっしー先生に加え、現役の都立高校の体育教師であり、明るく元気一杯な人柄で生徒たちから慕われているつばさ先生を新たにコーチとして迎え入れることと致しました。

以下にプロフィールをご紹介しますので、どうぞご期待ください。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

加藤翼(かとうつばさ)ニックネーム;つばさ先生、1999年東京都生まれ。

幼稚園よりサッカーを始め、高校まで13年間サッカー部で活躍。その後、体育の教員になる夢を叶えるべく文教大学教育学部に進学し、小学校

つばさ先生からのメッセージ

全科、中学校体育、高等学校体育の3つの教員免許を取得。大学では4年間バドミントン部に所属し、卒業後は教職の道に進み、現職である東京都立青井高等学校の体育教師となる。なお、高校では武道なども担当し幅広くスポーツを教える傍ら、サッカー部の主顧問も務め「都大会出場」という目標に向けて生徒たちと日々練習に励んできた。

皆さんこんにちは。これからWaku Waku Gymでお世話になる加藤翼と申します。皆さんと一緒に体を動かしながらスポーツの楽しさを伝えられたら嬉しいです。皆さんとお会いできる日を心待ちにしております。精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今がチャンス!柳井式で運動能力を伸ばそう@わく通2025年2月号

当ジムでは私が開発し改良を重ねた「柳井式」という独自プログラムを用いて指導をしております。
今回はこの柳井式についてお話ししたいと思います。

まず、柳井式の最も大きな特徴として「多種多様な運動をテンポ良く行う」というものがあります。

当ジムではぶら下がる、走る、ジャンプする、投げる、跳ぶ、回る、支えるといった多くの運動を毎回行っていますが、なぜこのように多種多様な運動をさせることが必要なのでしょうか?

その理由は、人間の脳が最も成長する時期がまさに当ジムに通われている子供たちの年齢であり、この時期に多くの運動を経験させることが運動能力の向上に非常に重要であるためです。

逆に今の年齢で多種多様な運動を経験することができないと運動能力の顕著な向上は望めないため、体を動かすことが好きな子供、運動が得意な子供に育つことは難しいと言えるでしょう。

私が小学校入学前の子供に何か一つのスポーツに特化してそれだけを専門的に行わせることに懐疑的であるのは、この年代で最も大切なのは多種多様な運動を行うことであるからにほかなりません。

私が大学院生の時、中学校、高校時代に水泳で全国優勝をして推薦で入学してきた選手と一緒にバレーボールの授業に参加していました。

筋骨隆々で身長も高くギリシャのダビデ像のような体型をした彼が一体どんなプレイをするのか興味津々でしたが、驚くことに全く上手ではなく、言葉を選ばずに言えばとても下手で他の学生たちが彼のことをからかっていたことをよく覚えています。

彼によると小学生の頃から毎日スイミングで泳いでいたため、他のスポーツをすることがほとんどなかったと言っていたことが印象的でした。

つまり、彼は多種多様な運動をすべき時に水泳しか行っていなかったので、残念ながらそれ以外の運動は全く不得手になってしまったのです。

ここバンコクでは体を動かす公園や、下校時や放課後に友達と外遊びできる環境がないので、運動好きで元気な子供に育ってほしいという願いがあるのであれば子供の運動環境を親が用意してあげることが大切なのではないでしょうか。

もっとも、今では日本でもゲーム三昧でほとんど運動をしないことから子供たちの運動能力が年々低下していることが指摘されています。

子供は本来運動が大好きです。それは上手い下手は関係なく、体を動かすことが楽しいと感じる感性があるためだと私は考えています。
そして、その時期が脳の発達面でも運動を行うベストなタイミングと一致するというのは、もはや偶然ではなく必然であると感じずにはいられません。

人間の脳は骨や筋肉と比較して最も早く成長を遂げ、第二次性徴前には成人とほぼ同じ大きさになります。

つまり、それまでに多種多様な運動を継続的に行うことが運動能力を最も効果的に伸ばすチャンスだと私は考えています。

当ジムでは今後も柳井式をさらにブラッシュアップして、お子様の運動能力向上に貢献していきたいと考えております。

運動が苦手な子、どうやって指導する?

さて、当ジムに入会される子供を見ていると、運動が好きでもっとやらせてあげたいというよりも、運動が苦手でこれでは将来困ったことになるのではと懸念され入会される方が多いように見受けられます。

そこで今回は、我々指導者が運動が苦手な子供を指導する際に最も気を付けていることについてお話したいと思います。

まず大前提として、「子供は自分が嫌いなこと、苦手なことは決して自らやろうとはしない」という明確な事実があります。つまり運動嫌いな子供は、残念ながら今後放っておいても自発的に運動することはないということです。

当ジムに入会したばかりの子供を見ていても、無理に運動させようとすると泣いて抵抗するのはよくある光景です。
では、そんな彼らをやる気にさせるにはどうしたらよいのでしょうか?

運動が苦手な子を運動好きにさせるのはとても時間がかかるため、私たちはまずは苦手意識を感じさせないように指導することを心がけています。
そのために大切なことは子供に劣等感を感じさせないことです。
つまりダメ出しをするのではなく、出来ていなかったことができるようになったことをその都度褒めるようにしています。

例えば鉄棒前回りであれば、まずは私たちの介助で回れたことを褒め、次に手を離さないで回れたら褒め、介助なしで一人でできたら褒めるというように、些細なことでもできるようになったことにフォーカスして褒めていくのです。

これを続けていると子供たちは少しずつですが自信を持ち、運動に対して興味を持つようになってきます。

これが他のスポーツ関係の習い事と当ジムの最も大きな違いであると考えています。

かつて、当ジムの会員さんがとあるサッカー教室のトライアルに参加した際、試合中に他の子供から「雑魚は来るな」と言われ非常にショックを受けて泣いてしまったという話をお母様より伺ったことがあります。

まだ精神的に成長しきれていない世代の子供たちは時に他者を傷つける言動をしてしまう事はよくありますが、子供の心はとても繊細なので、知らない子にこのような心ない言葉を投げかけられた場合にはサッカーをプレイすること自体を躊躇するようになってしまうのは当然だと思うのです。

スポーツは勝敗を競うものなので、どうしても勝利に貢献する可能性が高い子供が活躍をして、それ以外の子は引き立て役になってしまうというのは子供のスポーツ世界ではよくあることです。

大相撲横綱であった白鵬関の父親は、メキシコオリンピックでモンゴル代表としてレスリング競技に参加して銀メダルを獲得していますが、彼は幼年期の白鵬には勝敗を決するスポーツを決してさせなかったという逸話があります。

恐らく彼は子供が劣等感を感じることによってスポーツ嫌いになる怖さを知っていたのかもしれません。

私は運動は生涯にわたって長く続けることによってその価値がより発揮されると考えています。そのためには幼いときの運動に対するイメージが非常に大切になってきます。

たとえ運動が苦手であっても子供時代に劣等感を感じさせない指導を受け、ある程度の運動能力を身に着けることができれば、その後は自発的に運動に親しんでくれるというのが私の考えです。

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