さて、先日お母様同士で子供が甘えて困るといった話をされていたことがありました。
話の詳細は分からなかったのですが、このまま甘えさせては自立が遅れ将来に悪影響を及ぼすのではないかといった内容だったように思います。
そこで今回は土居健郎先生著の「甘えの構造」を参考にしながら子供にとって甘えはとても大切であるお話をしたいと思います。
本書の中で、筆者は自己肯定感の高い人間に育てる上で甘えは必須のものと言っています。
また甘えが存在するためには、
①甘える対象がある
②その対象とは特別な親しい関係がある
という2つの条件が必要と論じています。そして、かつてはその役割は家庭内にいる母や祖父母が担っていて家庭が子供にとって絶対的に安心できる場所であったのが、今では家族の形態の変化によりそれが叶わなくなってきているとも述べています。
子供にとっては成長の過程で自分を心身丸ごと受け入れてくれる人が存在するか否かで、その後の人間としての成熟度が大きく変わってくると思います。
そして、その対象(多くが母親)に自身を受け入れて欲しいが故に無自覚に行う行為が甘えなのです。
ただ現代社会のように、両親が共働きで家に帰っても母親がいない状態が当たり前になってくると、子供たちが母親に甘えたくても甘えられないという状況が出てくると思います。
しかし、幸いなことにここバンコクでは多くのお母様が家にいるので、子供にとっては甘えたい時に思い切り母親に甘えられる最高の環境が用意されていると言えるでしょう。
そこで、お母様もここに滞在している間は子供の健全な成長のためにも思い切り甘えさせてあげることを意識して頂ければと思います。
子供を甘えさせる効果というと子供の精神の安定ばかりに目がいきがちですが、実はその過程の中で母子がより密接な関係を築くことによって、母親にとってもお子様への愛情を再確認することになり、互いの心の健康にも繋がると思うのです。
子供たちが成長して第二次性徴を迎え自我が芽生えてくると、かつてのように甘えてくれなくなるものです。
そのように考えると、今のお子様の年齢でタイに駐在できることはとても幸運だと考えることができるのではないでしょうか。
タイ駐在の時間を充実させるためにも、ぜひお子様の「甘え」をこの時期ならではの貴重な時間と認識して大切に過ごして頂ければと思います。