さて、今の時期は新規入会の子供が多いのですが、彼らにまず習得してもらう運動が鉄棒前回りです。
特に2歳・3歳クラスや3歳・4歳・5歳クラスでは初めて鉄棒を行う子がほとんどですので、怖がって泣いてしまう子も少なくありません。
ただ、時間をかけて指導を続ければ、やがてどの子も怖がらずにできるようになってきます。
そして次の段階ではだんだん回ることが楽しくなり、何度も連続して鉄棒前回りをする子も現れてきます。
しかし、ここでお母さま、お父様の対応を見ていると、中には
「目が回ってしまうからそれくらいにしておきなさい」
「クラスでの運動に影響が出てしまうからもうやめておきなさい」
などの注意をされている方もいらっしゃいます。
そのお気持ちも理解できるのですが、子供は電池がなくなるまで動き続けるおもちゃではなく、疲れれば休むことを知っている人間という動物であり、初めて知った「回る」という感覚が楽しくてその楽しさが疲れよりも勝っているので何度も行っているのです。
このような経験は成長期のみの特権のようなものであり、そう何度も体験できるわけではないことをまずはご理解頂きたいと思います。
そして、はじめは恐怖や不安でいっぱいの表情をしていた子が、前回りが上手に出来るようになってくると自然と表情が柔らかくなり、こちらが何も言わなくても自発的に一人でやるようになってくる様子を見るのは指導者としても大変嬉しい事でもあります。
かつて私は日本の大学で体育を20年間教えていましたが、このような成長を遂げた学生と会ったことは皆無と言っていいと思います。
残念ながら大学生ともなると、できなかった運動が急に出来るようになるなどということはないのです。
そして、大学で運動が苦手な学生と話していて皆が異口同音に小学一年生から体育が大嫌いだったという話を聞いて大変驚き、「一体何歳頃までさかのぼれば運動能力の差がなくなるのだろう」という素朴な疑問から幼稚園での運動指導を始めて現在に至っています。
つまり、Waku Waku Gym設立のきっかけは運動が苦手な大学生との対話が原点であるとも言えるのです。
子供時代に多種多様な運動を継続して行えば必ず運動能力の向上が見られ、出来なかったことが出来るようになるという貴重な体験をすることができます。
この経験が子供の自信を大きく育み、人間的な成長にもつながっていくと私は考えています。
親であれば子供の成長ほどうれしいものはありません。そのためには親が子を上手に見守るという姿勢もとても大切なのではないでしょうか。